前回までのあらすじ!!
ハロウィンのかぼちゃがオレンジだと誰が決めた!?
緑があっても白があってもいいじゃない!?……あれ?検索したけど出ないな……えっ、だからゾンビ扱い!?
クリーパー!?ちがうから!!ジャック・オー・ランタンだから!!
緑だけど!……ほら!よく見て!中はオレンジ!!
冬編【1】うちで鍋しませんか?<1>
1号か2号か、18号か、木枯らしのせいで街路樹が寂しい姿になった。
寒い。すっかり冬だ。
旧世界に比べて寒さがずいぶん厳しい気がする。今季の予報では、さらに雪も多いそうだ。
白い息を吐きながら、カバンの他にぱんぱんに詰め込まれたレジ袋をぶら下げ、いつもの帰り道を歩く。
今日は金曜日。くたくたの身体にムチを打って仕事帰りにスーパーに寄った。
こんな寒い日は引きこもるしかない。
いや、寒い日ではない!寒い週末は!だ!!
この土日は家から一歩も出ないぞ!!
そのためにヘロヘロの金曜日だというのに、こんなに買ったのだ!!
手に持ったレジ袋を見る。
今日はエコバッグを忘れてしまい、しかたなくレジ袋を購入したが、なんだか袋がいつもより手に食い込んでいる気がする……気のせいか?
いや、気のせいじゃないな。
ちょっと、重いな……買いすぎたかも。
いまさらだけど、冷蔵庫に入るかな……まあ冬だから最悪野菜くらいならベランダに出せばいいか。
白菜、えのき、豆腐。いつもはコマ肉だけど、ちょっと贅沢に豚バラ。
こんな寒い日は鍋に限る。
鍋つゆは家にある豆乳でいいかな。白だしと、味噌と豆乳。簡単に家にあるもので出来るのに美味しい組み合わせだ。
シメはどうしようか考えていると、反対方向から見慣れた白菜頭が街灯の下を歩いてくる。
おや、石神千空博士氏だ。
時刻はすでに19時を回っていた。
白衣に赤マントで、完全博士モードの千空さんが、こんな時間にラボ方向へ向かっている。
上着無しで寒くないのかな?
「よう、花梨」
こちらに気付いた千空さんが片手をひょいと上げる。
近付いてみても上着無し。
やっぱりあのマント、宇宙素材とかで暑い寒い平気なやつ?
「千空さん、こんばんは。これからラボですか?」
「あー、帰ったはずだったんだがな……呼び出された」
「それはお疲れ様ですね」
不本意そうに眉が歪んだと思えば、すぐにわたしの手元を見て鼻を鳴らす。
「テメーは、懲りもせずまた買い込んでんな」
「土日引きこもろうかと思って。鍋でもしようかなって」
「さみぃから、わからなくもねえ……そうか、鍋か……やってねえな」
最後のひと言だけ、ほんの少し声が落ちた。
わかる。鍋って「みんなで食べるもの」ってイメージあるもんね。……まあ、わたしは普通にひとり鍋やるけどね。
でも、落ちた千空さんの声が気になってしまい、なんとなく口からこぼれてしまった。
「……あの、もしよければ、うちで鍋しませんか?」
意図せず出た。
そう本当に、思わず。
「あ?」
あ……!?いやいやいや!!何言ってんわたし!!!うちで鍋って!!
確実に家にご招待じゃん!!ええええ!!
ほら、博士氏、耳ほじりながらキョトンとしてんじゃん!!困らせてどうする!!!
「……今からラボ戻っから……あー、20時半でもいいか?」
「えっ?」
「まあ呼び出しの原因は分かってっから、そこまではかかんねえだろうがな」
「えっ!?えっ!!!ほ、ほんとに鍋します!?」
ほじっていた指をフッと吹く。
「……すんじゃねえのか?」
「し、します!!」
「なら後でな。すぐ煮える具でも買ってく」
千空さんはそう言うと、ラボへと歩いていった。
……鍋??鍋するの??千空さんと??
呆然と千空さんが立ち去った方向を見ていたが、はたと気づく。
えっ!!!いやまって!ちょっと!!家片付いてたっけ!?
慌てて回れ右して社宅へ猛ダッシュするのだった。
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